親が亡くなったときに使える給付・控除制度まとめ【2026年版・葬祭費から相続税まで】
親や家族が亡くなったときに利用できる公的給付と税制優遇を整理。葬祭費・埋葬料、遺族年金、未支給年金、医療費控除、相続税基礎控除など、申請を忘れると数十万円損する制度を網羅的に解説します。
死亡時に使える制度は「申請しないと貰えない」
家族が亡くなった直後はやることが多く、公的な給付・控除制度の申請が後回しになりがちです。しかしほとんどの制度は申請しないと貰えず、しかも申請期限があるものが多いため、知らずに損するケースが少なくありません。
この記事では、親や家族が亡くなったときに利用できる主な制度を、申請期限付きで整理します。
結論:これだけは申請する
最低限申請すべき制度を先に挙げます。
| 制度 | 金額 | 期限 |
|---|---|---|
| 葬祭費(国民健康保険) | 3〜7万円 | 葬儀から2年 |
| 埋葬料(健康保険組合) | 5万円 | 死亡から2年 |
| 未支給年金 | 数か月分の年金 | 死亡から5年 |
| 遺族基礎年金・遺族厚生年金 | 月数万円〜 | 死亡から5年 |
| 高額療養費(被相続人の最後の医療費) | 自己負担超過分 | 診療月から2年 |
| 医療費控除(最終年分) | 所得税還付 | 翌年3月の準確定申告 |
| 相続税基礎控除 | 3,000万円+600万円×法定相続人 | 死亡から10か月 |
1. 葬祭費・埋葬料(数万円が必ずもらえる)
葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療制度)
亡くなった方が国民健康保険または後期高齢者医療制度の被保険者だった場合、葬儀を行った人(喪主など)に葬祭費が支給されます。
- 金額: 自治体により3万〜7万円(東京23区は7万円)
- 申請者: 喪主または葬儀費用を負担した人
- 申請先: 亡くなった方が住んでいた市区町村
- 必要書類: 申請書、葬儀費用の領収書、喪主の本人確認書類、振込口座
- 申請期限: 葬儀を行った日から2年
埋葬料・埋葬費(健康保険組合・協会けんぽ)
亡くなった方が会社員等で健康保険組合や協会けんぽに加入していた場合は埋葬料または埋葬費が支給されます。
- 金額: 一律5万円
- 支給対象: 被保険者が亡くなった場合は被扶養者または埋葬を行った人
- 申請先: 加入していた健康保険組合または協会けんぽ
- 申請期限: 死亡から2年
葬祭費と埋葬料の併給はできない
両方を同時に受けることはできません。亡くなった方が最後に加入していた健康保険に応じてどちらかを申請します。
2. 年金関連の手続き
未支給年金(最後の年金は遺族が受け取れる)
国民年金・厚生年金は2か月分まとめて偶数月に振り込まれるため、亡くなった月分以降の未支給分は遺族が請求できます。
- 金額: 死亡月までの未支給分(数か月分)
- 対象遺族: 配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹(生計同一の順)
- 申請先: 年金事務所
- 申請期限: 死亡から5年(時効)
- 注意: 死亡届出と同時に手続きすると効率的
遺族基礎年金(18歳未満の子がいる場合)
亡くなった方に「18歳到達年度末(高校卒業)までの子」または障害のある20歳未満の子がいる場合、配偶者または子に支給されます。
- 基本額: 年額約83万円(2025年度)
- 子の加算: 第1子・第2子は各23万円、第3子以降は7万8千円
- 申請先: 年金事務所または市区町村
- 要件: 死亡者が国民年金保険料を直近1年間滞納していないこと(または死亡時に老齢基礎年金受給者だったこと)
遺族厚生年金(厚生年金加入者の家族)
亡くなった方が厚生年金加入者だった場合、配偶者・子・父母などに支給されます。
- 金額: 老齢厚生年金の3/4相当額
- 対象: 配偶者(妻・夫とも30歳未満は5年限定)、子、父母、孫、祖父母の順
- 申請先: 年金事務所
- 遺族基礎年金との併給: 18歳未満の子がいれば併給可
寡婦年金・死亡一時金(国民年金加入者)
国民年金第1号被保険者だった夫が亡くなった場合に妻が受けられる寡婦年金、または保険料を納めた期間が一定以上ある人が亡くなった場合の死亡一時金もあります。
- 寡婦年金: 夫が死亡したときに10年以上婚姻関係があった60〜65歳の妻
- 死亡一時金: 12〜32万円(保険料納付月数による)
両方は併給できないので、有利な方を選びます。
3. 医療費関連
高額療養費(最後の医療費の還付)
亡くなる前の月に高額な医療費がかかっていた場合、自己負担限度額を超えた分が還付されます。
- 申請先: 加入していた健康保険
- 申請期限: 診療月から2年(時効)
- 手続き者: 相続人が代理で申請
医療費控除(準確定申告)
亡くなった年の1月1日から死亡日までの医療費は、相続人が準確定申告で医療費控除を申告します。
- 期限: 死亡を知った日から4か月以内(重要)
- 対象: 亡くなった方本人と生計同一の家族の医療費
- 手続き: 相続人代表が提出
死亡前の医療費は数十万〜数百万円になることもあり、控除を申告すると数万〜数十万円の所得税還付が受けられます。
4. 相続税の基礎控除と申告
相続税の基礎控除額
相続財産の合計が一定額以下なら、相続税はかかりません。基礎控除額は次の式で計算します。
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例:法定相続人が配偶者と子2人(合計3人)の場合
- 基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
相続財産が4,800万円以下なら相続税の申告も納税も不要です。
申告期限と相続放棄の期限
| 手続き | 期限 |
|---|---|
| 相続放棄・限定承認 | 死亡を知った日から3か月 |
| 準確定申告 | 死亡を知った日から4か月 |
| 相続税申告 | 死亡を知った日から10か月 |
特に相続放棄の3か月期限は、借金を相続したくない場合に重要です。期限を過ぎると単純承認とみなされ、借金も含めて全部相続することになります。
配偶者の税額軽減
配偶者には大幅な軽減措置があります。配偶者が相続する財産が、1億6千万円または法定相続分のいずれか多い金額までは相続税が非課税になります。
ただしこの軽減を受けるには相続税の申告が必要です(納税ゼロでも申告書を提出する)。
小規模宅地等の特例(自宅の評価額を80%減)
亡くなった方が住んでいた自宅を配偶者または同居していた家族が相続する場合、土地の評価額を80%減できる特例があります。
- 減額率: 居住用宅地は最大80%(330㎡まで)
- 要件: 配偶者または同居親族が相続して住み続けるなど
この特例を使うと相続税の課税対象額が大幅に減るため、活用できるなら必ず適用してください。
5. その他の手続き・支援
世帯主変更届
亡くなった方が世帯主だった場合、死亡から14日以内に世帯主変更届が必要です(市区町村)。
児童扶養手当(ひとり親家庭への移行)
配偶者が亡くなり、自分が18歳未満の子を扶養することになった場合、児童扶養手当の対象になります。所得制限はありますが、月額最大45,500円が支給されます。
未支給介護保険給付・障害年金
亡くなった方が介護保険・障害年金を受給していた場合、未支給分や還付がある可能性があります。市区町村・年金事務所で確認してください。
申請の進め方(時系列フロー)
死亡から7日以内
- 死亡届(市区町村に提出)
- 火葬・埋葬許可
死亡から14日以内
- 世帯主変更届
- 国民健康保険資格喪失届
- 介護保険資格喪失届
死亡から3か月以内
- 相続放棄・限定承認の判断・手続き
死亡から4か月以内
- 準確定申告
- 医療費控除申告
死亡から10か月以内
- 相続税申告
死亡から2年以内
- 葬祭費 / 埋葬料申請
- 高額療養費申請
死亡から5年以内
- 未支給年金請求
- 遺族年金請求
まとめ
家族の死亡時には10以上の手続きがあり、申請期限もそれぞれ異なります。ポイントは:
- 葬祭費・埋葬料は2年以内に必ず申請(誰でももらえる)
- 準確定申告は4か月以内(医療費控除を忘れない)
- 相続税の判断は10か月以内(基礎控除内なら申告不要)
- 相続放棄は3か月(借金リスクがあるなら最優先)
葬儀社や税理士に依頼するとほとんどの手続きが代行されます。自力でやる場合は、亡くなった方の住んでいた市区町村と年金事務所、加入していた健康保険組合の3か所に問い合わせると、必要な手続きの一覧が貰えます。